まつられて御狐。

作品

本編は小説で展開しており、漫画は番外編です。

登場人物

世界観

(あ)る人の話 :

 草木の陰にいまなお妖怪の潜む現代。多くの人間はその存在に気づくことなく生活している。
 例えば、運動不足を気にした妖怪が走り回ったせいで、物が倒れたりすることがある。人の目から見れば、触ってもいないのに突然物が倒れたように思えるだろう。しかし、人はそんな不可解なことが起きても、風のせいか何かだと、大して気にとめたりはしない。気にすると怖い、という意識も手伝っているようだ。

 さて、日本のある町に揺草山という著名ではないが多くの自然が残った豊かな山がある。そこでは野生の動物に加えて、妖怪たちも気ままに暮らしている。山を統べる鴉天狗は齢600歳を越え、近隣ではそこそこ名の通った守護者である。揺草山の山神に最も近い存在だ。
 ところが、この山にはもうひとつ別の神がいる。珍しい黒い狐の姿をした「御狐様」だ。山の中腹に拝殿を構える高嶺神社がそれを奉っている。ここだけの話だが、代々その宮司を務める「高嶺」の家には、実は本物の狐の妖怪が住んでいるらしい。

 それでも妖怪など信じられないという人もいるだろう。ならば、高嶺神社へ行き、「狐の社」の前で願い事を言ってみるといい。大それた願いでなければ、御狐様が叶えてくれるはずだ。

 ただ、人々がこぞって押しかけて住人が困ってはいけないので、揺草山がどこにあるのか、ここでは述べないでおく。

設定裏話

本編であまり触れていない設定についてです。ネタバレもありますのでご注意ください。